日本の僧侶はなぜ帯妻し肉を食べるのか、葬式のときだけ仏教が急遽登場するのかといった疑問を五来重の宗教史、柳田國男の民族史を軸に日本の仏教の受容のされ方を見ていくことで解き明かしてくれる。内容はわかりやすく宗教に興味の無いけど生活上たまに出てくる仏教について疑問を持っている人向けの本だと思う。
ただ日本の仏教としてほぼ浄土宗、浄土真宗しかでてこないのは問題であるように思える。日本固有の仏教という点ではたしかに浄土宗、浄土真宗はその代表ではあるが、せめて真言宗系のものにも触れておくべきではないかと思う。また日本の自然信仰に仏教が混じっていく理由なども浄土宗、浄土真宗の立場からしか述べられていない点も疑問が残る。
なんでもかんでも『慈悲』という便利な言葉でまとめていくあたりが著者が日本の仏教の歴史を体現しているように思える。
あとがきで日本人が仏教というものなら何でも仏教のようなことを述べているのはどうかと思う。大陸を通過して変化した形でしか受容せざるを得なかった時代とは違い、釈迦がめざした本来の形をしることができる現代においては、もはや本来の仏教の本質がほぼぬけ落ちた名前だけの日本の仏教の在り方が問われてもいいのではないかと思う。